混合潤滑状態にある転がり - すべり接触面の摩擦係数推定式－摩擦係数に及ぼす表面粗さ形状の影響

摘要

動力伝達用歯車装置は高出力化や動力損失低減のニーズが高まっており，定量的にかみあい歯面の摩擦係数を推定する必要が生じている．かみあい歯面すなわち転がり - すべり接触面の摩擦係数値は，接触面の動力損失（摩擦仕事），瞬間温度上昇，接線力による転動疲労損傷発生などと密接に関係しているにもかかわらず，有効な推定式がなかった．特に接触面が潤滑油膜で完全に分離されない混合潤滑状態での摩擦係数を的確に推定する方法がなかった．筆者は前報に於いて，従来の摩擦係数推定式が転がり－すべり接触面の潤滑状態を考慮していないという不備を指摘し，式（1）～式（3）に示す混合潤滑状態における新たな摩擦係数推定式を提案した．その中で，新推定式は 2 ローラ試験や歯車試験から得られた摩擦係数の実験値を説明できることを示した．