低環境負荷物質潤滑下におけるDLCの低摩擦特性に及ぼす表面状態の影響（第2報）

摘要

摺動部の摩耗や摩擦係数の低減を目的として、種々のDLC膜と潤滑剤の組合せが用いられている。これまでに、様々な有機酸、アルコールや植物油を潤滑剤として用い、DLCと鉄基軸受け材料の組合せで発現する低摩擦特性やその要因についての報告を行ってきた。本研究では潤滑剤にアルコールや有機酸を用いたDLC膜同士を接触させた摩擦試験において、極めて平滑な水素フリーDLC膜（ta-C）同士の組合せで超低摩擦特性が得られ、この低摩擦特性が特に、潤滑剤に含む官能基と表面のぬれ性に影響されることを見出した。また摩擦係数の速度依存性をもとに、境界潤滑域での性能を評価した結果でも、ta-Cの優位性が示された。これらの側面から摩擦低減の機構について考察する。