異なる乱流条件下の乱流予混合燃焼DNS に基づく乱流燃焼モデルの検討

摘要

地球温暖化対策や原油価格の高騰に対応するために，CO_2 排出の多くを占める発電部門や輸送部門からの排出量を削減することが重要な課題である．燃焼をエネルギー源とする発電用ガスタービン燃焼器や自動車エンジンなどでは，燃焼効率を向上させることがCO_2排出量を削減することになる．燃焼器の開発，設計を数値シミュレーションにより行う場合，現在の計算機の能力では乱流燃焼モデルを用いることが必要であるが，乱流と燃焼反応が複雑に絡み合う乱流燃焼機構そのものに分からないことが多く，乱流燃焼モデルの評価もはっきりしていない．現時点では数値シミュレーションによる燃焼器の設計は実用的ではなく，燃焼器の開発には実機による試験を繰り返し行う必要があるため，開発コストが高くなり，長期の開発期間が必要となっている．以前の研究で，著者らは精度の良い乱流燃焼モデルを開発することを最終目標として，予混合気と燃焼ガスの密度比が異なる条件下（r_u/r_b=7.53, 5.00, 2.50）の十分に発達した乱流火炎のデータベースを構築し，乱流燃焼モデルの検討を行った．以前の計算では，乱流強度が層流燃焼速度と同程度の比較的弱い乱流中の乱流予混合火炎の計算であった．本報では，乱流強度を以前の計算の約2 倍にした乱流予混合火炎のDNS を実行し，乱流エネルギーと乱流スカラー流束の輸送方程式の解析を行った結果を報告する．