超音波音響粘性力と空気静圧力を組み合わせたフラットパネル基板の非接触搬送技術の開発（第6報）－脱落防止機能を付加した搬送ユニットの開発

摘要

近年，液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなどの平面基板や半導体ウェハの大型化が進hでいる．基板の大型化は，面積が大きくなるが厚さは変わらないため，基板は壊れやすくなる．一方，近年の集積回路の微細化に伴い，半導体ウェハの破損や汚損が半導体生産の歩留まりに大きな影響を与える．そのため，これらの製造工程において，より高度な品質管理が要求されている．搬送ローラを用いた従来の接触式搬送では，基板重量の増加やたわみによる接触部での破損や汚損が問題となる．また，非接触パレット方式による搬送では，基板の大型化に伴いパレットサイズを対応させる必要がある．したがって，これらの問題を解決するために，新たな非接触搬送技術の開発が望まれている．本研究では，空気静圧力によって基板を非接触支持し，上部の弾性ステータの超音波たわみ振動によって発生する音響粘性流により基板を搬送する非接触搬送技術を提案する．この搬送方法は非接触で支持·搬送を行うため，基板の破損や汚損を減らし，歩留まりが向上する．前報までに，□150×厚さ0.35mm の多結晶シリコンウェハを直線搬送する卓上型の非接触搬送路を製作し，基礎的な実験から搬送特性を検証した．また，搬送路からの基板の脱落を防ぐための非接触ガイドの基礎実験から，非接触保持の可能性を検証した1)．本報では，これらの原理を組み合わせた脱落防止機能を付加した搬送ユニットを提案し，その特性を評価したので報告する．