ボウタイトリーを含む架橋ポリエチレンの破壊特性に関する基礎的研究

摘要

湿潤下に布設された遮水屑が無い乾式CVケーブルの経年劣化は、水トリーが主体となることは既に知られている。ここで、水トリーによる劣化が進展すると、いずれは電気トリーが発生し全路破壊に至ることも知られている。一方、最近では、ケーブル製造技術の進歩により半導電層の異物や突起を起点とした内外導水トリーではなく、絶縁体中の異物·ボイドを起点としたボウタイトリーが絶縁性能低下の主な原因となってきた。例えば、内部または外部半導電層にボウタイトリーが接触すると，絶縁破壊電圧を著しく低下させることも報告されている。しかしながら、ボウタイトリーは、人工的に再現性良く所定の箇所に生成することが難しい。このため、ボウタイトリーからの電気トリーの発生過程およびボウタイトリーを含hだ絶縁体内での電気トリー進展過程について未解明な部分が多い。近年製造されたCVケーブルの信頼性向上のためには、ボウタイトリーが電気トリー発生·進展に与える諸特性を把握することが不可欠である。