ディーゼルパティキュレートフィルタ内のアッシュ堆積·輸送に関する研究（第3報）: ファンデルワールス力を考慮したアッシュ輸送モデルの構築

摘要

近年，環境問題が深刻化している中でディーゼルエンジンは二酸化炭素(Carbon dioxide 以下CO_2)排出量が少ないことから注目されている．一方で排出ガス規制は年々厳しくなっており，ディーゼルエンジンから排出される粒子状物質（Particulate Matter，以降PM）の処理には微粒子捕集フィルタ（Diesel Particulate Filter，以降DPF）が用いられている．DPF は推定PM 堆積量もしくは圧力損失が閾値を超えた際に強制再生が行われ，捕集されたPM はCO_2 として排出されるが，PM中には再生によって処理することができない灰分(以降アッシュ)が存在する．堆積したアッシュは強制再生時にDPF 内で輸送され，圧力損失に影響を及ぼす．よってフィルタ前後圧損の予測精度向上に向けて，アッシュ輸送現象の解明と堆積形態の正確な把握が求められている．本研究では，DPF 内アッシュ輸送現象の汎用モデルによる再現精度を向上させることを目的とし，汎用モデルと連携する外部モデルを構築した．また，構築した外部モデルにより，従来堆積条件ごとに設定が必要となっていたアッシュ輸送条件を自動で設定可能とすることを目的としている．