インクリメンタルラォーミングによる金属薄板廃棄物のリサイクルに関する研究（第一報 インクリメンタル平坦化による増肉化挙動）

摘要

家庭から排出された冷蔵庫や洗濯機，パソコンなどの家電製品筐体は，通常，特定の場所に収集され，そこで圧縮成形される．その後，溶解·圧延過程を経て，元の薄板に戻される．この溶解過程で，莫大なエネルギーが消費され，地球温暖化の観点から，大量のCO_2排出が問題となる．もし，溶解過程を経ないで，金属薄板廃棄物を元の薄板に戻すことができたら，この問題は解決される．金属筐体の場合，曲げ加工が施された薄板のコーナー部は減肉しているため，そのまま曲げ戻すと，局所的に減肉した薄板になってしまう．この減肉の問題を解決するために，我々の研究室では，インクリメンタルフォーミングにより曲げ加工が施された金属薄板廃棄物を平坦化と同時に増肉化させる方法を研究してきた．この方法では，まず，金属薄板廃棄物の曲げコーナー部を残した状態で，薄板に曲げ戻す．次に，この残存コーナー部をインクリメンタル平坦化する．この方法により，減肉した曲げコーナー部を増肉化することが可能である．しかし，その増肉化挙動については検討されていない．そこで本研究では，残存コーナー部を有する金属薄板をインクリメンタル平坦化した場合の増肉化挙動について実験的に検討した．