カーボンブラック粉末を担持させた鋼粒子を用いた微粒子ピーニングによって生じる炭素の移着現象とそのメカニズム

摘要

微粒子ピーニング(FPP)を用いて，微小な寸法を有するカーボンブラックを材料表面に付与することを試み，そのメカニズムについて詳細な検討を加えた．カーボンブラックを鋼粒子の表面に担持させた複合粒子を作製し，これを投射材としてFPPを施すことにより，被処理材表面にカーボンブラックを移着させることができた．移着したカーボンブラックと被処理材との密着力は弱いが，一部のカーボンブラックは同じく複合粒子から移着した鋼成分とともに被処理材の内部に埋入された状態となった．FPP後の被処理材表面に存在するカーボンブラックの量は，投射時間を長くした場合に減少傾向を示した．FPPの過程で被処理材が加工硬化したのに伴い，カーボンブラックの移着が生じにくくなったことがその一因である．