コーティング膜の熱物性計測用標準試料の開発

摘要

コーティング技術は耐熱材料、生体材料など、様々な分野における最も重要な基盤技術のひとつであり、その特性をさらに向上させるため、ナノテクノロジーの概念を適用したコーティング（ナノコーティング技術）の開発研究が進められている。遮熱コーティングはガスタービンのブレード材などの金属にセラミックスの皮膜をつけることにより、金属の耐熱温度以上での使用を可能にするためのものである。このため、コーティング皮膜には優れた遮熱性が求められ、その材料開発のためには高精度な熱物性データが求められる。しかし、コーティング材の熱物性評価においては、バルク材の場合とは異なる界面抵抗等の不確かさの要因が発生するため、バルク用の標準試料をそのまま用いても、十分な精度評価ができないことが予想される。著者らは、ナノコーティング技術を実用化する上で必要となるコーティング熱物性標準試料について研究を進めており、すでに、コーティング材、基材ともセラミックスを用いた標準試料を開発した[1,2]。さらに、新たな標準試料としてより実材料に近い標準試料の開発を進めており、候補材料の適用性を検討したので報告する。