耳川の通砂事業により西郷ダム下流に形成した砂州の湧水特性

摘要

2017年9月の通砂によって形成した砂州において，ドローンによる砂州地形調査，砂州を通過する水量（湧水量）の計測，ロガーによる水温日周変動の計測を行い，砂州の湧水特性を明らかにした．湧水量は全流量の33-50%に達することが明らかとなった．砂州地形データからの湧水量の空間変異を分析し，砂州周囲水際の高さから湧水量の空間変異が予測できることを示した．砂州は目詰まりすることなく湧水は半年以上にもわたって持続し，湧水は底生動物や魚類の生息場として機能するとともに，下流への濁度低下にも寄与した．本研究は，通砂によってダム下流に砂州が発達したことで生態系に様々な正の効果があったことを示すものである．