認知症初期群の前頭葉機能とBCI の誤入力の関係

摘要

我が国の認知症高齢者の数は，高齢化と同時に年々増加しており，2025 年には730 万人にもなると予想されている．これに認知症の前段階の状態である軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment: MCI)患者を加えると約1300万人にもなるとも予想されており，65 歳以上に限って言えば，実に3 人に1 人が認知症あるいはその予備群になることが社会的にも問題になっている．しかし，MCI の段階では早期発見や適切な治療を施すことによって認知症の発症やアルツハイマー型認知症(Alzheimer’s Disease:AD)へのコンバートを抑制することが可能であるため，早期診断の重要性が高まってきている．一方で早期段階による受診は，認知症が疑われる高齢者自身や家族の気づきに依拠する面が強い傾向にあり，発症初期段階においては自らの力による受診が難しいことが報告されており，受診に至る際には認知症の症状が進行していることが少なくない状況である[4]．そのため，本人の意思による受診を可能にするためには、受診を促す第三者等による介入が望まれるところである．