3次元再構成モデル作成のための環境撮影支援システムの性能評価

摘要

近年、被写体の深度(焦点から被写体までの距離) も取得できるRGB-D カメラや、Structure fromMotion(SfM） などの3 次元モデル作成技術の発展により、環境の現在の状況を忠実に反映した3 次元再構成モデルを安価かつ短時間に作成できるようになってきた。図1 に示すような、環境を撮影して得た多数の画像を処理して作成できる3 次元再構成モデルは、手作業で作成される3 次元のComputer AidedDesign(CAD) モデルには含まれないような細いケーブルなど、非常に細かな形状も含まれている。このような3 次元再構成モデルは、プラントの保守・解体作業の様々な場面で有効活用できる。例えば、原子力発電プラント内などの作業現場の3 次元再構成モデルを作成し、オフィスなどで参照できるようにすることで、現場に向かうことなく現場の状況を確認できる。また、3 次元再構成モデル上に設備に関するメタ情報を付加し、作業時に拡張現実感を用いて参照可能にするシステムは、現場での滞在時間の短縮や保守・解体作業のミスの低減に有効であると期待されている。このように3 次元再構成モデルは、原子力発電プラントの保守・解体作業の様々な場面で利用可能である。しかし、原子力発電プラント内などの複雑な環境を撮影に慣れていない人が撮影すると、撮影の漏れが生じやすく、作成された3 次元再構成モデルに抜け落ちが生じてしまう。また、3 次元再構成モデルを作成する際には、取得した画像がそれぞれどの位置から撮影されたかを推定(トラッキング) する必要がある。環境を撮影する際、カメラを動かすスピードが速すぎると、画像がぶれたり、トラッキングに失敗したりするため、それらの画像はモデル化の際に利用できない。そのため、撮影時にはカメラを動かすスピードに注意する必要がある。さらに、RGB-D カメラは被写体との距離が近すぎる場合、正確な深度を取得することができないため、撮影時には被写体までの距離を適切に保つ必要がある。