金属クラスター触媒を用いた多層グラフェンナノリボンの作製と電気特性評価

摘要

グラフェンナノリボン（GNRs）とは、グラフェンをリボン状に切り出した構造を有するナノカーボン材料である。単層 GNRs は、バンドギャップを持つことが理論的にも実験的にも示されており、FETなどの電子デバイスへの応用が期待されている。デバイスには単層よりも多層が適していると考えられており、高配向性熱分解グラファイト(HOPG)上に鉄粒子を堆積させ、熱を加えて作製する方法が提案されている。本研究では、コバルトを触媒として用いて SiO_2基板上に多層GNRsを作製し、原子間力顕微鏡（AFM）を用いてその構造及び電気特性を評価した。[実験方法] まずスコッチテープ法を用いてSiO2基板にグラファイトを転写する。サンプル上にアークプラズマ蒸着法を用いて放電電圧90 Vでコバルトを蒸着後、アルゴン・水素混合ガス雰囲気中(流量：20 sccm)で900 °Cで90 分間加熱し、多層GNRsを作製した。得られた多層GNRsを原子間力顕微鏡（AFM）を用いて構造及び電気特性を測定した。