過疎地域における在宅認知症高齢者の居住を支える環境要素についての研究宮城県丸森町に居住の一事例の調査を通して

摘要

現在は認知症も軽度であり、家族や地域の見守り・支援により一人暮らしが可能となっている。認知症が進行した時、さらに課題が顕在化することが推測される。例えば住宅は安心して暮らすための重要な場所だが、今後はトイレや台所など設備的な改善の検討が必要になる可能性が高い。地域の人の見守りや関わりで支えられている部分もあるが、認知症が進行した時に同様に関わってくれる存在がいるのかは見通せない。可能な限り本人の意思を尊重し、自宅で過ごすことが望まれるが、それが叶わなくなる時も想定される。　一方で、現在の住宅・地域での生活様態を考えると、異なる環境を持つ介護施設や他地域での生活は困難が予想される。自宅・地域で暮らし続けることの理想追求のために必要な要素は何か。調査を積み重ねて、そのあり方を明らかにしていきたい。