島立学校の事例にみる立石清重を中心とする大工集団の建設体制

摘要

本稿では、島立学校の事例から立石大工集団の建設体制を示すことを目的として、主に出勤簿を用い、その建設に関わった職人の出勤状況と仕事内容から建設体制を考察した。島立学校の建設は、設計と施工の二行程から成り立っていた。設計は大工棟梁の立石清重、施工は副棟梁の中村安次郎と複数の大工職人、諸職人によって行われており、設計と施工の行程は明快に分離していた。こうした擬洋風建築に関わる建設体制は、棟梁と副棟梁を中心とする近世的なものを踏襲しつつも、明治期以降に一般化する設計と施工によって分業化した近代的なものの下地をなす、両体制の過渡期な建設体制の具体像を示している。