並列出力MASH方式ΔΣ変調器を用いた直交変調型包絡線パルス幅変調方式送信機

摘要

直交変調型(QM)包絡線パルス幅変調(EPWM)送信機において，ΔΣ変調器の安定性を確保しつつ，良好なノイズシ ェーピング特性を得るためにはMASH方式ΔΣ変調器の採用が有効である.しかし，MASH方式ΔΣ変調器は多値出力となるた め，その後ろに多値デジタル信号処理が必要となり，QM-EPWM信号処理部の高速動作の点で不利である.このため，本研究で は並列2値出力をそのまま並列にアップコンバージョンおよび交互出力する構成（全並列型PO-MASH)のQM-EPWM送信機 の提案を行なう.さらに，全並列型PO-MASH方式QM-EPWM送信機では並列2値多入力•多値出力スイツチング電力増幅器を 用いる必要があるが，この電力増幅器は高速性および変調精度の点で不利となる.このため，本研究ではさらに，PO-MASH出力 を並直列変換することにより，QM-EPWM出力を2値デジジタル単一信号とし，電力増幅器を含めた高速高精度動作を容易とす る構成(並直列変換型PO-MASH)のQM-EPWM送信機を提案する.さらに，計算機シミュレーションにより，提案する2つのPO-MASHを用いたQM-EPWM送信機と従来のQM-EPWM送信機をEVMについて比較する.その結果，電力増幅器において特性劣化が予想されるものの，QM-EPWM信号処理部としては，全並列型PO-MASH方式の送信機が最も良好なEVMが得られるこ とを示す.また，並直列変換型PO-MASH方式の送信機は，全並列型PO-MASH方式の送信機と比べEVMは劣るものの，適切に MASHの高次化を図ることにより従来型より良好なEVMが得られることを示す.