RT-LAMP法によるDNAウイルスとRNAウイルスの同時検出に関する検討

摘要

あらまし現在日本赤十字社では，血液製剤の安全性確保のために，核酸増幅検査(nucleic acid amplification test;NAT)を実施している.しかし，少ないながらも未だに血液製剤の使用によるウイルス感染が報告されているのが現状である.このような背景から当研究室では，NATに替わる検査法として独自に開発したウイルスの捕捉·濃縮·分離が可能な導電性中空糸膜と核酸増幅法の一種であるRT-LAMP法(reverse transcription loop-mediated isothermal amplification)を用いた検査法の開発を進めてきた.これまで導電性中空糸膜とRT-LMAP法を用いた本検査法により，DNAウイルスとRNAウイルスを別々に検出対象として検討を行い，NATより迅速かつ同等の感度で検出できることを確認した.本検査法の臨床応用を想定した場合，1回の検査で複数のウイルスを同時に検出する必要がある.そこで本報では，RT-LAMP法においてDNAウイルスとRNAウイルスを含む混合試料から両ウイルスを同時に検出できるか検討したので報告する.