考えることに主眼を置いたプログラミング教育支援の検討とラーニングアナリティクスの事例

摘要

プログラミングは，コンピュータサイエンスにおいて従来から最も重要な技能と考えられてきた.とりわけ近年，社会の高度情報化に伴い，プログラミングは特に必要な技能として一般的にも広く認識されつつある.日本政府は現在，義務教育のカリキュラムに基本的なプログラミングの必修化を検討している段階にあり，これはその最たる例であると言える.また，Computational Thinking(CT)という考え方のもとで，プログラミングや問題解決に関する考え方やその能力の重要性も指摘されている.これら背後には，労働の大部分が高い確率で機械に代替されるであろうと予測されていることがある.型にはまった仕事を間違いなく指示通り処理する能力よりも，機械をうまく使いながら，問題解決を効率的にこなす方法を設計できる能力こそこれからの時代に必要であると考えられている.以上から，教育機関で学ぶ全ての者は，コンピュータ関連の分野を専攻しているかどうかに関わらず，プロダラミングに関する知識を基本的な素養として身に付けていることが求められる潮流にあることは確かであると言える.