総合評価落札方式における技術評価に関する考察公共工事「総合評価方式」に関する研究 その3

摘要

公共工事は，調達時点で品質を確認できる物品購入とは性質が異なる。入札を行い，落札者となった施工者の技術力によって品質が左右される。平成17年4月に「公共工事の品質確保の促進に関する法律」が施行され，価格評価だけの競争から価格評価と価格以外の評価（以下，技術評価という）を含めた総合評価方式が拡大した。現在では，国土交通省が発注する工事のほぼすべてにおいて総合評価方式が用いられている。総合評価方式の特徴といえる逆転落札は毎年増加傾向にあり，22年度では，28.4%の工事が逆転落札であった。総合評価方式によって両評価の優れた者が選定されている一方で，技術評価項目の提案による差が生じにくくなっているなど，発注者，応札者それぞれの立場で問題点が浮き彫りとなっている。