增改築における外形の変化と「空間としての価値」の関係: 現代日本の住宅作品における增改築の手法-建築家の自邸を例に-（1）

摘要

住宅作品の增改築では、既存の住宅のあり方に対して新しく加えられる部分をどのように位置づけるか、あるいは全体をどのように枠付けなおすかが、建築表現における主題になる。こうした増改築における設計手法は、使用財としての価値の付加が元の建物が獲得していた空間としての価値との間に引き起こす葛藤に、どのように対処するかという問題として定義することができる。特に建築家の自邸における增改築は、自身が設計した建物に対して、自らが再び手を加えるため、一人の建築家による一貫した取り組みとしてその性格が先鋭化していると考えられる。