昭和６年度末における郡是製糸株式会社分工場の建築構成について:近代製糸産業の形成過程に関する建築史研究 その１０

摘要

昭和 6 年度末における同社の分工場の建築構成を網羅 的に捉えた結果、各用途の建物は建築構造?階数?屋根 葺材などを同じような仕様とし、本社建設課の設計によ り標準化されていたことがうかがえる。標準化すること により、短期間に多数の建物を建てることが可能になっ た。さらに明治末期から工場の大型化を視野に入れ、買 収?新設にかかわらず、敷地を大きくすることで配置計 画も標準化していた。一方、温突の採用や雪国仕様など、 地域性は考慮されている。全体として捉えるとRC 造化は 大正12 年から昭和初期くらいまでに限定され、その後は 木造と防火壁で対処されるというこれまでの研究成果と も一致しており、今回の調査により確証を得ることがで きた。