高等学校家庭科住居領域の指導:住まいに対する生徒の意識

摘要

平成29年２月に学習指導要領の改訂案が公表され，意見公募の期間を経て，平成29年３月31日に小学校と中学校の新学習指導要領が告示された。この学習指導要領は，小学校は平成32年度，中学校は平成33年度から実施されることとなる。今回の改訂では，知識の理解の質をさらに高め，確かな学力を育成することが目指されており，「主体的・対話的で深い学びの実現」に向けた授業改善が求められている。家庭科に関しては，家族・家庭生活，乳幼児，高齢者，食育，日本の生活文化，金銭管理，消費生活や環境に配慮したライフスタイル，生涯の生活設計等に関する内容や学習活動を充実するように示されている。家庭科は，衣食住を中心とした生活全般を学習対象としている教科である。限られた授業時間数の中で,これらの多岐にわたる内容を扱わなければならず，そのために各領域に費やす時間は短くなり，特に住居領域に関しては，他領域と比較して授業時間数が少なく，扱いが低調となっている1)。その理由として，学習素材が教室に持ち込みにくいこと，指導に必要な教材や資料が不足していること，生徒の興味・関心が他領域と比べて高くないことなどがあげられる2)。生徒が意欲的に関心をもって授業に取り組んでいないという姿勢は，指導する教員側にとっても手ごたえがなく，指導を敬遠する要因となっている。