血液透析患者のﾊﾞｽｷｭﾗｰｱｸｾｽの狭窄に伴うｼｬﾝﾄ音と血管抵抗指数の経時変化と血管内血液流れとの関連

摘要

超音波を活用したバスキュラーアクセス（VA）の機能評価として、血管抵抗指数（resistance index：RI）を用いる方法がある。しかし、VA は極めて高速の血流が血管壁を刺激することにより、ごく短期間に狭窄を繰り返すことがしばしばあり、そのような場合にモニタリングとして超音波を活用するには多くの課題が存在する。そこで我々は、VAの皮膚表面に両面テープで貼付した小型加速度センサを使ってシャント音を採取し、そのシャント音に対してｳｪｰﾌﾞﾚｯﾄ変換による時間-周波数解析を行うことで得られる正規化相互相関係数R と正規化持続時間NDT によって、経時的なVA 機能評価を試みる独自の定量的評価法について検討している。これまでの研究成果として、VA の狭窄病変の進行に伴い、R もNDT も経時的に低下し、その後、経皮的血管形成術（PTA）によって狭窄病変が改善すると、R もNDT もVA 機能良好時の数値に戻ることを確認している。