家兎に於ける黴毒血淸反應出現に關する知見補遺 : I.黴毒スビロヘータと同時に?丸内に接種されたる細菌またはその培養液のWassermann類脂肪體抗體産生に及ぼす影響 II.無處置動生血淸の黴毒反應の現れ方並に正常抗體有無の問題に就て

摘要

實驗的家兎黴毒に於て,枯草菌及びその培養濾液が血液の黴毒反應陽性轉化な促進せしめるといふ岡田の報告所見を確認し,次でこの促進作用が菌またはその培養液の有するDuran-Reynalsの擴散因子に關係を有するか否かを検討したるに,枯草菌培養液の本擴散因子は左程大なるものに非ず,然るに萄萄状球菌培養液は本因子作用が大であるが,家兎黴毒に於ける血淸陽性轉化を却って遅延せしめ,結核菌死菌浮游液に於ては之と全く逆の關係を證明した。即ち菌またはその培養液の黴毒血淸反應陽性轉化促進作用と擴散因子とは全然無關係であることを認めた。次に正常家兎血淸に於てWassermann反應陽性を示すものに?々遭遇したが,これ等血淸の中で,村田,井出及びチトコール反應の凡てに陽性を示すものは極めて稀であり,WitebskyのWassermann反應確證試驗に於ては,殆ど凡てがその反應度の顯著なる減退乃至消失を來すを認めた。これに反し村田,井出及びチトコール反應の何れにも陽性を示した例に於ては,該確證試驗に於て却って反應度の增強を來すことを認めた。黴毒接種家兎血淸は一定潜伏期後にはこれ等反應の凡てに陽性を示し,且つWitebskyの抗體分離による確證試驗に於て,反應度の增強を來すもの多く,減退を來すもの殆ど無きを認めた。