ホールガーメントによるニット産業の革新

摘要

一般的に衣料は，織物っまりテキスタイル製品か，編み物であるニット製品に大別される．テキスタイルはたて糸と横糸を交互に組み合わせて一枚の布を織るため，一定の形を保持できることや耐久性に富むなどのメリットがあるものの，最終製品に仕上げるためには裁断#12539;縫製が必要となる．一方，ニットは一本の糸をループ状にして編むため，伸縮性や保温性にすぐれているだけでなく，多彩な糸使いや柄ができるなどファッション性が高く消費者ニーズの個性化に適している．これらのことは，それぞれが用いられている衣料の分野でも明らかであるが，編み地の多様性と，製造工程，特に後述する横編ニットの成型という面での工程の少なさによって，今後ニット製品の需要は増加するものと考えられる．世界的に見てもカジュアル化の傾向を反映し，ニット化率（衣料に占めるニット製品の割合）はゆるやかに上昇しており，およそ40％近くになっている．