外科治療

摘要

鼻アレルギーは確実な根治療法がなく難治性であるものの，命に関わることはない典型的な慢性疾患であるが，多くの点でいわゆる生活習慣病とは異なる．ことに花粉症は，恐怖感がなくなり，医師の助けの必要な疾患というより，やっかいな自然災害に近い感覚で国民には受け止められはじめている，このことは，同様にこの時期の季節性疾患であるインフルエンザが，ときとして致死的で恐れられているのとは対照的である．スギヒノキ花粉症の最大の問題点は膨大な患者数と社会経済活動への影響である．早春の一時期に国民の20％にほぼ同時に出現する季節疾患であり，しかも世界最大のメガロポリスで，世界経済の中心でもある関東東海地方に花粉飛散が多く，とくに20～50歳代の生産世代に好発するため，社会経済活動への影響の大きさから考えると世界的にみても特異的な風土病といえる．さらに，首都圏では近年，小学生のスギ花粉抗体陽性率が急速に増加し，学童の40％に達している地域もあり，半数の学童は成人までに発症する．これまでの検討では，若年発症例では高齢になるまでは自然寛解が少ないとされており，人口増加している首都圏では，今後スギ花粉症患者はさらに増加すると思われる．