到達運動のプリズム適応において,終点位置の視覚フィードバックが運動終了時刻より50ミリ秒以上遅れると残効量が有意に減少することが報告されている(Kitazawa et al. 1995).この現象は,プリズム適応のゲインが運動終了後の一定の「時間窓」において高いことを示している.本研究では,脳が何を手がかりにしてこの時間窓を定めているのかを明らかにすることを目的に,仮想投てき運動課題を題材とした行動実験を行った.その結果,動作終了(手首の運動の終わり)の時刻から誤差フィードバックまでの時間よりも,課題終了(投てき物の着弾)の時刻から誤差フィードバックまでの時間の方が適応ゲインに大きな影響を与えることが明らかになった.
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