インクジェットプリンタとディスプレイの色彩解析

摘要

CRTとプリンタの色彩を一致させることは，デザイナーをはじめとして，色彩業界の悲願でもあると考えられる。 正確な色彩情報の伝達が，とくに一般市販されている民生用機器で実現できたならば，そのビジネスシーンの拡大は，はかり知れないものがあるであろう。 すなわちB to Bや，B to CといったWebシーンでのカラーコミュニケーションの実現である。 残念ながら，現状の機器レベルがその段階に達しているかというと，ある程度高価な機材を用いても，プロの間からは不満の声が聞こえてくるのが現状であり，今後，技術開発の進歩を大いに期待しなければならない。 しかし，一方で色再現性や再現域の向上と低価格／高精彩／高性能の方向に急激に進歩しているのは事実であり，これに携わり，あるいは期待を寄せている方々も少なくない。 今回は，その中でとくにCMS（Color Management System）に関連した，画像装置とプリンタ装置の色彩解析に関連した解説を行う。 本稿では，CMSに必要な色彩学の基礎にはじまり，物体色の測定やプリンタの場合の応用展開，蛍光増白された用紙の測定と，発光体であるディスプレイの測定，さらにはCMSをつかさどる最近の光学機器の紹介とCMS自体の概要の紹介を行う。