加工方法が先染織物の物理特性に及ぼす影響

摘要

播州織の基本的な加工工程では，織工程で毛羽立ちを抑えるために付加される糊剤を落とし（糊抜き），その後様々な加工を施す．そのうち最も基本的な加工がシルケット加工である．シルケット加工とは，苛性ソーダ水溶液に浸け伸長することにより，艶を出す加工のことである．そのほかの加工でも様々な機能が付加され，風合いが大きく変化することが経験的に知られている．加工による風合いの差異については報告［1-4］がなされているが，先染の綿織物で同一生地に対する異なる加工，物性評価，風合い評価を捉えた研究は少ない．本研究では，同一の生地に対してなされる様々な加工によって先染織物の物理特性，風合い特性がどのように変化するか，その範囲と特徴を明らかにすることを目的とした．