機能性高分子微粒子を基盤とするソフト分散体材料の創出

摘要

固体粒子が気液界面に吸着することで、泡、リキッドマーブル等のソフト分散体が安定化されることが古くから知られている。これまでに、食品、浮遊選鉱等の分野で、固体粒子で安定化された分散体について精力的に研究が行われているが、対象となる粒子は、形状、大きさ、表面化学が不均一で、またその混合物が使用される場合がほとんどであり、分散体の厳密な評価が困難、再現性が低いといった問題を抱えていた。また、機能取得、材料創出を目的にする研究は未開の研究領域であった。このような背景のもと、受賞者は、高分子化学、界面コロイド化学を学術基盤として、構造·機能がデザインされた高分子微粒子を精密合成し、微粒子の界面吸脱着現象を利用したソフト分散系の安定性·構造制御に関する基礎研究を推進してきた。さらに、高分子の有する刺激応答性、フィルム形成能を活かし、微粒子安定化ソフト分散体を基盤とする省エネルギー型新規機能性高分子材料創製まで研究を発展させてきた。以下に受賞者の研究業績を要約する。