肥満は心血管疾患の潜在因子になっていると考えられ,とくに脳血管障害の発症リスクとして最近注目されている.肥満は加齢とともに増加し,高血圧,糖尿病,高脂血症に関連するので,これらのリスクファククーを介して脳卒中のリスクを高めていると考えられるが,最近,肥満はアディポサイトカインを介して直接的に動脈硬化や血栓形成を促進することも明らかにされた.また,最近行われた大規模な疫学研究によれば,高体重やbody mass index(BMI)で示される一般的な肥満よりも内臓脂肪型肥満(abdominal obesity)のほうが脳卒中のリスクと密接に関連していることも示唆されている.本稿では,脳卒中と肥満に関してこれまでに報告されているエビデンスと最近提唱されたガイドラインを紹介し,脳卒中に肥満が関与するメカニズムを考えてみたい.
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