Cコンパイラの算術最適化のランダムテストにおける式生成の強化

摘要

本稿では，Cコンパイラの算術最適化を対象とするランダムテストにおける不具合検出能力の向上を目的として，式生成を強化する手法を提案する．本手法では，従来手法よりも長く，かつC言語の未定義動作を引き起こさない算術式を生成する．これは，式の期待値計算の過程で未定義動作を検出すると，式を変形することによりその未定義動作を回避するという方法による．また，1つのプログラムに複数の式を出現させることにより，不具合検出能力の強化を図る．本手法に基づくランダムテストシステムを実装した結果，GCC 4.7.2（x86.64-apple-darwin10），GCC 4.5.4（i686-PC-linux）などの不具合を検出することができた．