超臨界CO_2を用いた自然循環型熱回収システム

摘要

近年，エネルギー枯渇問題や原子力発電所事故によるエネルギー供給問題を背景に，再生可能エネルギー利用への注目が集まっている．その中でも太陽エネルギーのエネルギー量は他の再生可能エネルギーと比較して大きいため，その有効利用に関する多くの研究および実用化がなされている．そこで本研究では，熱源に太陽エネルギー，熱媒体に安全·無害なCO_2を使用し，超臨界CO_2の自然循環を利用した太陽熱利用給湯システムを提案した．超臨界CO_2は熱輸送能力に優れており，微小の温度変化により大きな密度変化が生じるため，浮力対流により冷媒の自然循環を形成することが可能である．一方，超臨界CO_2の熱輸送特性や流動特性については正確な知見が得られておらず，超臨界CO_2の熱輸送特性，流動特性を把握することは，本システムの効率向上において非常に重要である．本報では，CO_2の自然循環時における熱輸送特性の調査を行った結果について報告する．特に，熱輸送特性の調査においては，システムの給湯能力に寄与するCO_2の質量流量，全天日射量および熱回収量に着目し考察を行った．