医療のIT化は誰のためで誰の負担で:当院の電子カルテ化を振り返って

摘要

政府の経済財政諮問会議は,2011年度までに医療費の効率化策を集中的に進めることで一致したと報じられている.2004年度の医療給付費は27兆円であるが,放置すれば2025年度には56兆円に達するとされ,「改革」によって48兆円に抑えようとする計画の一環である.その是非はともかくとし,要は,IT(情報技術)を活用して,診察や健康診断などのデータを電子化し,患者はICチップを載せた健康保険証を使い,自分のデータを自由に引き出し,複数の診療機関で同じ検査を受けるといった無駄を減らすことが目的である.