テクスチャ領域分割を用いた固有空間BPLP法による画像復元

摘要

欠損した画像の復元手法の一つに，天野らによる固有空間BPLP法がある．この手法は，非欠損領域から切り出したブロックを主成分分析し，主要な主成分ベクトルによって張られた固有空間で欠損を含むブロックを近似する．その結果は，主要な主成分ベクトルのみで復元すると不明瞭になる．主要ではない主成分ベクトルも用いれば高周波成分の多い画像は得られるが，復元精度が大きく低下する．本論文では，高周波成分も復元した場合の復元精度の低下を防ぐため，より復元対象のブロックに適した固有空間を張ることのできる，テクスチャ領域分割を導入した復元法を提案する．画像をテクスチャ領域分割により周波数特性の近い領域に分け，それぞれの領域から異なる固有空間を張り，復元対象によって使用する固有空間を変えることで，復元精度の低下を防ぐ．実験の結果，高周波成分を多く付加した場合の復元精度の向上が確認できた．