低速スタート沪過の濁度抑制効果と作用機序に関する基礎的研究

摘要

沪過開始からの沪速を低速から所定の最終沪速へ20分間隔で3段階に上昇させる一連の低速スタート沪過実験を、カオリン1 mg/L及びPAC 0～3 mg/L注入の原水を用いて行い、同法が通常の定速沪過よりも初期漏出濁度の抑制に極めて有効であることを明らかにした。さらに、低速スタート沪過の効果は、低速沪過時に濁質が沪層上層部に集中して捕捉され、沪層の局部的な熟成が促進されることによって発現すること、及びそのような熟成層の形成は、清澄安定期の沪過水濁度の抑制にも大きな効果を発揮し、沪速120 m/dでPAC 3 mg/L注入の場合、99.9％（3.0-log）を超える高い濁度除去率に繋がることを説明した。