ナイキスト波長多重伝送システムのための信号処理

摘要

符号速度に等しい両測波帯域を有する矩形状スペクトルを有する光信号を、符号速度と等しい周波数間隔で配置することで、符号間干渉（Inter symbol interference：ISI）および隣接チャネルからのクロストークがなく理想的な周波数利用効率が得られる。この技術はナイキスト波長分割多重（wavelength-division multiplexing：WDM）技術と呼ばれる。本稿では、このナイキストWDM技術を理解するための基礎を整理するとともに、ナイキストWDM 信号生成に必要となるディジタル信号処理の詳細を示す。はじめに、帯域制限することで生じるISIを制御するパルス整形の必要性を述べ、ISIが抑圧される条件を示すナイキスト基準を説明する。特に、周波数領域でナイキスト基準を議論することで、矩形ナイキストパルス整形によって帯域制限とISI抑圧の両立が達成されることが直感的に理解できる。この矩形ナイキストパルス整形を実現するための光送信器の信号処理の詳細を示し、送受信器デバイスが与える制限も整理する。最後に、ナイキストWDM信号の変復調実験報告例を紹介する。