車載用パワーデバイスの概要とITS分野におけるパワーデバイスの役割

摘要

「車」と聞くと，「機械技術の結集」と考える人は多い．確かに，エンジンをはじめ，ブレーキ，ステアリング等，車の主要部分には機械技術が随所に適用されている．一方で，車のエレクトロニクス化には目を見張るものがあり，現在の車ではその生産コストのうち約20がエレクトロニクス部品のコストといわれている．更にこのエレクトロニクス部品コストの中で半導体素子の占める割合は15～20％程度にのぼり，かつ重要な役割を担っている．このような状況を表す言葉に「Si Vehicle」がある．これは車載エレクトロニクスの中枢をなすシリコン半導体素子が従来の機械技術と同等以上の重要性を車の中で占めていることを端的に表している．車載シリコン半導体素子には，それぞれ人の五感，頭脳，手足に相当するセンサ，制御デバイス，パワーデバイスがあり，それらが的確に連携することで車の性能を最大限に引き出している．本稿ではこのうち車載用パワーデバイスに関して解説を行い，ITS技術とのかかわりについて述べる．