地球温暖化と海面水位の上昇: その現状での理解と将来予測

摘要

前稿(「水路」204号)では、現在進行している海面上昇の半分弱の要因である、温暖化による海表層の熱膨張について説明した。本稿では、残りの半分強の要因である、陸の氷河·氷床と地下水などの陸水の寄与について解説する。地球上の水の約97は平均水深3700mの海洋に存在しており、残りの約3が陸にある(理科年表、2021)。その3/4を氷河·氷床が占め、1/4は河川、湖水、地下水などの陸水である。氷河·氷床·陸水は、海洋と蒸発、降水雪、流出を通じてつながっており、そのバランスによって海水面に数10m以上の変化をもたらす。