大規模企業経営と家族経営

摘要

ロシアのウクライナ侵攻をはじめとした国 際情勢の変動の中で飼料、肥料、燃油等の価 格高騰や供給不安が顕在化している。これを 背景に、今、畜産経営の存続と食料安全保障 について今更ながらとは思うが、改めて議論 が開始されている。農林水産省は配合飼料基 金の異常補填への支援をはじめ、酪農家への さらなる支援、堆肥や粗飼料流通への支援、 牛肉の調整保管などさまざまな支援策を丁寧 に組み立てており、さらに中期的な飼料生産 対策も打ち出し畜産経営の存続を図っている。このように畜産経営の存続のために手厚い 支援策を行う理由は、まず、第一には国民へ の畜産物の安定供給である。「食の安全」は「食 品の安定供給」、そして「食品の安全性の確保」 の二つを含んだ言葉であり、まさしく食料安 全保障である。国民を飢えから守ることであ る。畜産についても飼料穀物、肥料、衛生関 連資材、そして粗飼料まで輸入に頼っている 畜産についても、ご多分に漏れず生産資材の 不足や価格の高騰に見舞われ、多くの経営が 圧迫され、国民への畜産物の安定供給が懸念 されている。