卵巣奇形腫に続発したと考えられる自己免疫性溶血性貧血(AIHA)

摘要

症例は既往歴,輸血歴のない26歳女性。2021年4月の健 診ではHb 13.5 g/d/であったが,9月頃から頭痛,倦怠感が 出現し近医受診,Hb 8.4g/d/と貧血を認めた。当科受診時, RBC 250 万/μl, Hb 9.0 g/dZ,網赤血球 9.2, LDH 339 U/Z, T-Bil 2.37 mg/dl, D-Bil 0.09 mg/dl であり,ハプトグロビン は感度以下,直接クームス陽性,IgG型抗体を認め,温式 AIHAと診断した。SLEを含む自己免疫疾患を示唆する病歴 や所見を認めず,リンパ増殖性疾患の検索目的のCT検査で 骨盤内に10cm大の右卵巣奇形腫を認めたため,腹腔鏡下 腫瘍摘出術を施行した。卵巣奇形腫に関連したAIHAはステ ロイド治療や脾摘に抵抗性で,腫瘍摘出で治癒すると報告さ れている。卵巣奇形腫に関連したAIHAは極めて稀であるこ とから,文献的考察を加え報告する。