建築と都市と実践

摘要

末廣香織(以下，末廣）国際的に見ても日本は非常に自然災害が多いので，九州大学でも建築学科にはエンジニアリングの研究者が多く在籍しています.建築学科が生まれた頃は，共通の目標に向かってエンジニアとデザインが共存してしすこはずですが，研究分野が細分化し専門性が高くなるにつれて，お互いこ何をやっているのかが非常に分かりづらい状況になりました.また，設計を行う実務側からも，大学で何をやってしいのか分からないという意見もあり，そうしたギャップをなんとかしたいと思っていました.大学でも研究という掘り下け'る作業だけではなく，教員同士が協力して個別の知見を総合する機会が必要だと考えていたのです.そのためBeCATでは，自分の研究が実際の社会でどう役立つかを，さまざまなプロジェクトを通して伝えたいと思いました.また，九州大学伊都キャンパスは2018年に移転が完了したのですが，せっかく都心から出てしいなら，都心部にはない，田舎ならではの都市や建築の強みは何なのかを考えないと意味がないという思いもありました.九州大学には環境系の先生が多いのですが，タイミングよくセンター立ち上げの直前に着任された末光さんに，環境とデザインを結び付けて教えてほしいと，活動の中心を担うデザインラボ長をお願いしました.重松さんは私の教え子のひとりでもあるのですが，国際的な教育と設計の経験を通してセンターを引っ張てほしいと思い，センター長をお願いしました.