月評

摘要

6月号では人とものと場所それぞれの要素が絡まり合い，織物のように広がったり結節点となるようなプロジェクトが多く見られた.同時にそれらを紡ぐ方法が作品によって異なっているが，コロナ禍を経て実空間での賑わいが徐々に取り戻されつつあることも感じた.また作品ごとで，実空間の実践で立脚している視座が異なり，その違いが端的に建築の設計や構造にも依拠していることが興味深かった.そういった事柄を考えていく上では，千光寺頂上展望台PEAKの品川雅俊氏の文中におけるティム?インゴルドの引用の筆者意訳，根源的なくねり絡まる線の結び目としての人間の営みと，近代的な直線による結節点，という視座を介することで，これからのことを想像しながら読み進めた.