下顎骨骨髄炎を併発した低腫瘍量のAPLに対し, 亜ヒ酸単剤の地固め療法で長期完全寛解に至った 1例

摘要

【緒言】現在急性前骨髄球性白血病(APL)の国内プロトコ ルでは地固め療法に化学療法を用いる。今回化学療法を用い ず維持療法まで行い長期寛解に至った症例を経験したため報 告する。【症例】55歳女性。人間ドッグで白血球数低値を指 摘され当科に紹介受診。骨髄穿刺でfaggot細胞,PML-RARA陽性を認め,APLと診断した。入院時白血球数1,600/μlAPL細胞数1,000/μl以下でJALSG APL212 A群として ATRA単剤で治療開始,分化症候群を認めずday40で血液学 的寛解を得た。しかし経過中に口腔外科で根尖性歯周炎から 波及した左下顎骨骨髄炎に対し,左下6?7番の抜歯および 下顎骨部分切除術を施行しており,感染症リスクと患者の希 望から臨床試験を中止した。以降,亜ヒ酸単剤で地固め療法 を行いPML-RARA陰性を確認.Am80の維持療法を2年間 行い,5年1ヶ月完全寛解を維持している。