周術期敗血症とDICに対する治療戦略

摘要

敗血症症例はsequential organ failure assessment （SOFA）スコアを用いて重症度評価を行う. 初期蘇生時には治療開始と同時に心機能?血行動態の評価を心エコーを用いて行うことが重要である. 敗血症性臓器障害の本態は血管内皮細胞傷害である.周術期の生体反応は，神経内分泌系，心血管系，代 謝系，免疫系などの各系がお互いに連携しながら多彩 な生理学的，生化学的変化によつて形成されバランス を維持している.しかし，手術侵襲が生体にとって過 度であつた場合には，過剰な炎症反応を制御すること ができずに様々な合併症が引き起こされる.特に術後 感染症から敗血症に至った場合には臓器不全へ移行し やすい.そこで本稿では，周術期の敗血症の病態と治療について播種性血管内凝固（disseminated intravascular coagulation ： DIC）を中心に，日本版敗血症 診療ガイドライン（J-SSCG） 2020を参考に概説す る.