薬物モニタリングにより胃瘻からのベネトクラクス 粉砕投与が安全に施行できた再発急性骨髄性白血病

摘要

【緒言】BCL2は急性骨髄性白血病(AML)の幹細胞で高発 現しており,白血病細胞の生存と治療抵抗性に寄与してい る。BCL2阻害薬であるベネトクラクス(VEN)は白血病 幹細胞も標的としうるAMLにおける新規の経口薬剤であ る。しかし,粉砕したVENの投与報告はなく,その有効 性?安全性?薬物動態は不明である。【症例】40歳,女性。 AMLに対する造血幹細胞移植の合併症により食道狭窄を来 し経口投与不能となったため胃瘻を造設した。患者からの同 意を得た後,VENを粉砕し胃瘻から投与した。粉砕投与時 のVEN血中濃度評価では，日本人におけるVEN経口投与 時の既報のC_maxおよびAUC_0-24と同等であり,アザシチジ ン併用療法の経過において芽球の減少を認め，予期せぬ有害 事象の出現はなく安全に治療可能であった。【結語】何らか の理由にて経口投与が困難なAML症例に対しても, VEN粉 砕投与の可能性が示唆された。