特集号「臨床血液学2022 ー血液疾患診療の注目すべき 進歩と将来像一」に寄せて

摘要

「臨床血液」では,特集号を年2回刊行し,血液学のさまざまな分野の最近の話題を読者の皆様にお送り しています。近年の血液疾患領域の診療の進歩は著しく,どの分野をみても1年を振り返ると目を見張るような進歩が 数多くあります。白血病,悪性リンパ腫,多発性骨髄種で新たな治療や治療薬が出現し,標準治療が塗り替 えられた例やアンメットニーズに応えられたケースもあげられます。一方で,リスク層別化の進歩があり, それらを反映した治療の至適化の試みも進んでいます。さらには遺伝子異常や残存病変の意義も解明が進 み,それらを生かした診療の精密化への取り組みも活発です。このように見ると,自分の専門分野にかかわ らず,目が離せない話題がいくつもあることに気づかされます。現在では,そのひとつひとつを自分だけで フォローするのは,しばしばたいへんな作業になります。そこで,血液疾患診療におけるこの1年を含む最 近の国内外の成果と,近い将来に期待される発展に注目して,それらを一通り見渡せるような特集が組めれ ばと考えました。