2022年の懸念材料、8割の企業が「原油?素材価格の上昇」と回答

摘要

続騰する原燃料コスト、収束の見通しが立たない国際物流の混乱、半導体不足、オミクロン株の抬頭など不安要素を抱えたまま新しい年を迎えた。では、産業界は2022年をどのように展望しているのか。民間調査機関の帝国データバンクが11月中?下旬に全国の企業を対象に実施したアンケート調査によると(有効回答数1万1,500社)、2022年の景気が「回復」局面になると見込む企業は、前年の景気見通しから8.5ポイント(pt)増の22.3だった。特に「飲食店」(37.7=前年比24.7pt増)や「旅館?ホテル」(32.6=同17.4pt増)、「娯楽サービス」(29.0=同15.2pt増)といった個人向けサービス業の見通しが大幅に上向いた。逆に、「悪化」局面を見込む企業は同19.8pt減の12.6にとどまっている。次に、2022年の景気に悪影響を及ぼす懸念材料を尋ねたところ、「原油?素材価格の上昇」が82.5(前年比75.2pt増)でトップに来た(3つまでの複数回答=以下同)。業種別では、「建材?家具、窯業?土石製品製造」(93.9)や「化学品製造」(93.8)、「鉄鋼?非鉄?鉱業」(91.3)など製造業で懸念する割合が高い。次いで、「感染症による影響の拡大」(39.5)、「人手不足」(30.6)、「中国経済」(21.7)などが懸念材料として挙がっている。さらに景気回復のために必要な政策では、前回調査に続いて「感染症の収束」が50.3で最も高かった(複数回答=以下同)。以下、「原材料不足や価格高騰への対策」(41.4)、「中小企業向け支援策の拡充」(39.4)が続いている。新型コロナの感染収束への期待から総じて前向きな見通しを示す企業が増えているが、調査時点はオミクロン株が登場するより前である点を考慮しなければならない。回復しつつある経済を再び悪化させないためにも、政府には新型コロナの感染抑制とともに、原料高や材料不足などへの迅速な対応が求められるだろう。