かご漁業における水中カメラ観測による トヤマエビの入りかご脱かご行動の野外観察

摘要

漁業では，生物の自然環境における行動や人工刺激に 対する行動を利用して対象生物を漁獲する（井上1978)。 漁獲の過程における生物の行動を詳細に理解すること は，資源の選択的な漁獲および持続的な利用を実現す るうえで重要である。データロガーや水中カメラは水 中生物の行動（秋山ら1995，Meintzer et al. 2017)および分 布（渡部,北川2004),漁場の水温（佐野ら2017)など の環境情報，漁具の設置深度（光永2006)や挙動（光永 2006，平石2006)を知るために多くの研究で用いられて いる。特に水中カメラによる観測は漁具の採集効率の推定に用いられるほか，(渡部,北川2004),漁獲の過程に ついて視覚的な情報を蓄積できる（秋山ら1995, Meintzer et al. 2017)。これらの視覚的な情報は漁業者や漁村コ ミユニテイにおいて共有されやすく，漁業者自らが漁獲 の過程について理解すると共に資源管理を進めるきっか けとなりうる。