本気の人と組む。気持ちの変化を汲み取る

摘要

デザイナーの辰野しずか氏は、自らのミッションとして伝統産業のプロジェクトに携わっている。メーカーにも熱意や覚悟を求めたいが、「デザインが大事にされない」状況に戸惑うこともあるようだ。ロンドンに留学していた頃から日本のものづくりに興味を持ち、伝統産業の仕事をしたいと強く思い続けてきた辰野しずか氏。帰国後に自身の事務所を設立して以来、伝統産業のプロジェクトに精力的に関わってきた。「自分のミッションだと思って取り組んでいる。だからこそ、本気でやりたいと思っている人と組みたい」。協業を決める際に重視するのは「人」だ。伝統的工芸品産業振興協会のマッチング事業「NEW DENSAN PROJECT」（2015年度）では備前焼のメーカーに向けて商品企画を提案した。「家族経営で熱意がある。営業担当の息子さんがどうしてもヨーロッパで一旗あげたいと話していたのが印象的でした」。経験上、いいメーカーとの出会いはいい結果につながりやすい。備前焼独特の素朴な質感や機能性を生かしたカラフェ「hiiro」は商品化され、海外での商談も成功しているという。